ヒストリーチャンネル「Jesus: His Life」 の話

ジーザスの話をメディアで視聴するなら、ヒストリーチャンネルの「ジーザス:ヒズライフ」が圧倒的におすすめ。

理由はストーリーの合間合間に専門家が出てきて解説をしてくれることと、なんといってもキャストがイメージにピッタリ!!だから。
オバマ大統領の宗教アドバイザーや、米国で有名な神父作家さんも登場します

www.history.com

第一話は無料で観れるようです!

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まずはジーザスだけど、彼はパレスチナ系のユダヤ人。人種的に白人ではない、だからこのキャスティングは史実に近いと思います。細身で長身の姿はジーザスのイメージにピッタリです。

強力な家父長制が敷かれていた2000年前のユダヤ人社会で、普通に女性の弟子を持ち、男性の弟子と同様に接してしまうジーザス。ジーザスは当時の権威に逆らいまくりの革命家ですが、こういうところにもとんでもない革新性が見てとれます。

3 Reasons Why 'Jesus: His Life' Stands Out From Other Biblical Biopics

ユダ。神経質そうな、生真面目でプライドの高そうな様子がほんとユダ。ジーザスは権威への反逆者であり、それはほとんど革命家ってレベルなのですが、ユダは当時の社会常識や権威に忠実なタイプだったのではないかと思います。だから、ジーザスの言動が過激になるにつれ、付いて行けなくなっちゃったのではないでしょうか。

ペテロ。初代教皇だけど、12使徒の中では「できない子」(笑)。他の使徒みたいに第二外国語を話せないし、マグダラのマリアみたいに打てば響くような聡明さも無かったみたい。だけど誰よりも、ジーザスを神の子と信じる熱い忠誠心を持っていた、だからジーザスからリーダーを任された。だけどペテロといえば、「鶏が鳴く前に三度ジーザスを否定」のエピソードが有名ですね。彼が復活したジーザスからセカンドチャンスを与えられ、やり直すために再び立ち上がるシーンは感動です。ジーザスって教師の鑑みたいな人。

ジョセフ。イエスの父であり、「いい人」。前述したように、この時代のユダヤ社会は超絶家父長制です。今でも中央アジア一帯ではあるじゃないですか、「名誉殺人」。家族の女性が父や男の家族の許可も無くよその男と付き合った時、家族の名誉を守るためにその「はしたない」女性を殺す慣習。生きたまま焼かれた女性もいます。

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マリア様は精霊によって身ごもったことになっているけど、当時のジョセフからしたら、婚約者が自分のものではない子供を結婚前に身ごもったわけです。人々に知らせれば、マリア様は人々から石打ちにされて殺されていました。でも彼はそうしなかった。ほんとうにいい人だし、すごい人。

ポンティオ・ピラト。ローマの下級貴族で、当時パレスチナに派遣されていたローマの役人というか責任者。当時パレスチナローマ帝国の植民地だったから。ローマから遠く離れたド田舎に派遣されて、マジ嫌だったらしいです。普段はエルサレムにいたくなくて、地中海沿いの別荘で暮らしていたそうです(ローマに帰りたかったんだね~)。
見るからにローマ人!という感じが良いですね。

Jesus: His Life: The Story of Pontius Pilate - video Dailymotion

荒れ野で叫ぶ男、洗礼者ヨハネジーザスは公生涯に入る直前に、正しい神の教えを説くヨハネの荒れ野キャンプに参加しました。イスラエルの荒れ野は現代でもマジで荒れ野で、コンビニのひとつもありません。こんなとこでどうやって暮らしてたんだろ。ともあれ、熱い男という感じで、このキャスティングもピッタリでした。

Jesus: His Life' dispels beliefs about Christ and biblical history

出た!大祭司カイアファ。この時代のユダヤ社会における最大権威。ユダに銀貨30枚を支払ったのはこの人です。ピラトも権威であり体制側ですが、ジーザスが最も対立したのは、ユダヤ教の大祭司カイアファや、ファリサイ派などの宗教指導者、長老たちです。つまり同じユダヤ人たち。

Jesus: His Life: The Story of Caiaphas - video Dailymotion

ジーザスは、当時のユダヤ社会における宗教を基盤とした秩序や権威をぶち壊す存在でした。ユダヤ教には、今でもだけど、守るべきルールがたくさんあります。例えば安息日にはエレベータのボタンを押してもダメ。だからイスラエルのエレベータには閉まるボタンが無いし、階数を押さなくても全フロアに自動的に止まったりする。

私は専門家じゃないので適当に聞いてほしいのですが、当時はそれらのルールが、人間以上に大切にされてた面があったと思います。でもジーザスはルールよりも人間(人権と言い換えてもいい)を優先した、単純に言うとね。それで、当時の宗教的指導者たちは彼を排除したかった。しかし、植民地の民である以上彼らにジーザスを死刑にする権限は無かったので、ピラトの裁可を仰ぐ必要がありました。ピラトはピラトで、ユダヤで騒動でも起きればローマの中央から首を切られますから、お互いの利益が一致したところもあったのかもしれません。

でもこういうのって、人間社会のどこでも起こり得る話です。(聖書のストーリーをもとに)過去には多くの不幸なユダヤ人差別が起こりましたが、未来に向かってはそういうことが起こらないことを願うばかりです。

追記:人名の発音について。左が日本語/ヘブライ語読み、右が英語読み
ジーザス:イエス
ペテロ:ピーター
カヤパ:カイアファ
ユダ:ジューダス
ヨハネ:ジョン
ヨセフ:ジョセフ
エルサレム:ジェルーサレム